3/3 13:55 子ども 天使 悪魔 現実界

子どもは天使だ、子どもは悪魔だ、ってどちらにも言われたりするけど、結局は同じことで子どもってのは大人の常識がまだ身に付いてないから、フィルターを通してない、ありのままの世界をそこに映す。だからそこに善悪という概念はなく、常識に凝り固まった大人がその無邪気な行いを見て、天使だ、悪魔だ、と評価を下して常識の中に取り入れようと、常識で咀嚼しようとする。理解できないものは怖いから。     
天使な例はぱっと思いつかないけど悪魔な例なら一つ程。まあ悪魔っていうにはちゃちすぎるけど。ガキの頃カマキリを飼っていた。友人達も皆飼うくらいに流行っていたし、それに何より凄い格好良かったから。でも虫かごの中に入れてただけじゃ死んでしまう。餌がないから。餌はペットショップなんかじゃ売ってないから、そこらへんの原っぱや河原で取ってくる。近所の河原にはトンボが腐る程いたので、トンボを網で捕まえて虫かごの中に放り込んだ。食べるかな、食べるかなっと興味津々に見ていたのだけど、カマキリはなかなかトンボを食べない。夕食の時間だったので虫かごを見るのをやめてその日はそのまま寝た。翌日になったので見てみると、まだトンボは生きていた。おいおい、全然食わないじゃん。昼になり友人達と遊んでたときに2つ年上の子に聞いてみた。仲間の中でカマキリを最初に飼った子だった。カマキリがトンボを食べないんだけど。するとその子は言った。ああ、羽ちょんぱするんだよ、トンボは。羽ちょんぱ?初めて聞く言葉に首を傾げると、ああ知らないのか、教えてやるよと河原に網を持って連れてかれた。河原につきその子は簡単にトンボを捕ると、右羽を右手で左羽を左手で持って自分に見せた。ほら、よく見てろよ。そしてその子は慣れた手つきで両手を引っ張りトンボを引き裂いた。え?何々?初めて見る行為に驚く自分。その子は身が大きくついてる方を自分に見せて教えてくれる。ほら、肉が出てるだろ?こうすると食べやすいんだよ。それに飛べないしな。にやりと笑う彼を見て、自分はおー!あったまいいー!さすが○○ちゃん!とやたらと感心した。両方を綺麗に裂くのが難しいんだよと言うので、その後一緒に沢山練習して、沢山捨てた。初めは羽しか取れないくらい下手くそだった自分も綺麗に半分に裂けるようになった。そしてその後はカマキリに羽ちょんぱしたトンボを与えるようになった。
って、長い!トンボの羽ちぎってカマキリの餌にしてた、って一行で済むのに!まあ、今考えると、ないわーって行為だけど、ガキの頃はそもそもそんな思考回路、トンボも生き物だとか無駄な殺生はするべきじゃないとか残酷だとか、なんてなく、ただのトンボ、トンボと呼ばれるもの、ってだけだったから、カマキリの餌になる→よーし、パパいっぱい羽ちょんぱしちゃうぞー!ってシンプル思考になるんだろうな。
ていうか、今書いてて思い出したんだけど、コオロギ相手にも似たようなことやってた気がする。首ちょんぱって。チャレンジャーっていうか凄いな昔の自分。今じゃ真似しようとしてもちょっとできないぞ、それ。そして母親がえらい顔をしかめてた気がする。子どもの頃は不思議でならなかったけど、今考えるとわかりすぎるくらいにわかるな。そりゃ顔もしかめるわ。ていうか止めなかったのがちょっとすごいな。いや、止められたっけか?やめなさいよ、可哀想じゃないって。何で?って聞き返したな、そういえば。