ごちそうさまって

あれ誰に向かって言ってんだろうね。調理者なのか、出費者なのか、素材やら命やら神様やらなのか。自分が飯を作った際には、そんなことを考える。
調理者に向かって言ってんならば、はいはいお粗末さんでした、とまでは言わないものの、あーい、くらいに相づちを打ってもいいんだけど、出費者に、いやーこんだけの飯食わせてもろてごちそうさんでした、って言ってる場合や、素材や神様なんかに、豚さん秋刀魚さんジャガイモさん菜っ葉さん貴重なお命ありがとうございました、神様今日もこの私めに食料を与えて下すってありがとうございます、ごちそうさま、って言ってる場合に、自分が軽い調子で、あいあいお粗末さんでした、なんて抜かしたら、や、お前に言ってねーし。
出費者に、素材さんに、神さんに、言ってるんであって、たかだか調理した程度のてめえなんかが返事をしたら、俺様のごちそうさまが、てめえのような畜生如きに言ってることになっちまうんだから、へらへら笑いながら適当なこと抜かしてるんじゃねえぞ、この野郎。だなんてことになっちまうんじゃないかなって思っちゃうもんだから、軽はずみに返事ができない。そんなわけで、最初はえ、あ、うん。なんて小さく口籠もったりしてたものの、しばらくしてから、基本ノーリアクションってことに方針転換。みんな素材や神に向けてごちそうさまをしているんだ。きっとそうなんだ。とまあそんな感じにスルー。自分は基本、調理者に向けて言ってるつもりなんだけど、世の中的にはどーなんだろうね、ごちそうさま。アンケートなんか取ったら結構割れそうな気はする。少なくともどれかが過半数ってことはないだろうってくらいには。