葬式で、夫をなくした妻に。人間は遺伝子の乗り物です。ほら、ご覧なさい。(息子を指して)あんなに新品の船にいま彼は乗っているんですよ。彼はしあわせです。だから古い船のことは忘れてしまいなさい。云々。
遺伝子の乗り物なんて言葉は使い古されちゃってるけど、こういう視点は新鮮でいい。他人行儀な、インベーダ的な、遺伝子じゃなく、そこに人格を見出すというか、乗り物を仮託したやり方。厳密に言えばちがう気もするし、ちがわない気もする。遺伝子の話に勝手に乗り物のイメージ投影してんじゃねえよ、って見方と、遺伝子という種が発芽した姿が乗り物というかその個人の姿形心根であるのだから、って見方。
「遺伝子の乗り物」っていう言葉だけを知識として仕入れてそこで止まっちゃう人と、それをちゃんと考えとして受け取って自分なりに進めてこういう言い方ができる人がいる。頭の良さの違い。高須クリニックの院長の話。