おやこ

朝。特急通過待ちの混み合った電車内。ふと駅を見ると、なんていうのか駅全体を覆うカバーみたいな、線路の向こう側にある透明なガラスだかプラ越しに見えた風景が、こどもの時、単身赴任の父親に会うため妹と母親に連れられて行った、新幹線を待っているときに見た風景と似ていて、ああ戻りてえ、なんてつと思う。
しかし、ま、時は戻らない。だから可能性があるとするならば、と考え、幻視する。数年後の自分と、こどもが、この駅のプラットホームを歩く様を。ま、半分とはいえ、だいたい似たような顔になるだろう。ということは、だいたい似たような風景を再現することができるってことだろう。過去に戻ることはできない。でも過去を模することはできる。子を為すってのはそういうことでもあるんだろうなあ、なんて思う。イメクラ的な。シチュエーションプレイ的な。