基本的に

子供は悪くないよね。そんなことを暴れ回る子供を放置して買い物に興じる母親を見て思う。だって彼はそれが悪い行いだと知らされていないんだから、彼が店内で暴れ回ることは何にも悪くない。悪いのは、それを教えない母親であり、それを他人事として傍観している自分だ。
なんつーと、昔は良かった的な話じゃねえのって感じもするが、そもそもからして語れる程の昔には生きていないし、昔のそれも、公共心が云々っつーか、短気なおっさんが多かっただけに思ってる。こういった場所では大きな声で騒いだりしてはいけないよ、と教え諭す良心的な大人が昔に多かったというよりも、ごるぁ、うるせえぞガキがっ!と、ガキよりも五月蠅い声でがなり立てるおっさんが多かったんじゃないかなって。
だから昔は良かった、最近はひどい的な話ではなく、基本的に子供は悪くない。周囲の人間の基準を反映しているだけなんだから。と、そういう話。昔はおっさんがキレ、今はみんなが他人行儀にシカトする。それが善い悪いではなく、子供は何が善くて何が悪いかなんて知らないんだから、基本的に善いも悪いもなく、昔は怒鳴るおっさんがいたからそれは悪いことであり、今はみんながスルーする、顔をしかめたところで子供からしたら許容しているのと変わらない、スルーをしているんだから、我が物顔で暴れ回る。そこにあるのは子供の質の低下や云々なんてものじゃなく、こっち側の価値観や態度の変容であり、子供はその反映でしかないよねえっと、暴れる子供を黙って見送り、レジへと向かった。