妻も子も財産も

火事で失い身一つで逃れてきた者が、どんな悲惨な顔をして生きてるかと思ったら、平気な顔して生活しているので「君はなにも損害を被らなかったのかい?」と聞くと「うん、ありがたいことにおれのものはなに一つ失わなんだよ」と答えたとかいう話。
一見、失いまくっているように思えるが、そう思える場合、そもそもからして彼とは考え方が異なっている。妻と子と財産がなくなってなお、なにも失っていないと答えるというのはどういうことか。そもそも彼はそれらを持っていない。自分のものであると考えていない。だからなくなったところで失われたとは考えない。そう考えた場合、むしろ持つと考えることがひどく傲慢にすら思える。財産と言えと、手元にあり、周りの人間もそれが自分の所有物だと振る舞っているだけなのに、それを自分の物であるかのように考えることが。ただ彼女の意志により、連れ合っているだけの、相手を所有すると考えることが。
て、何だか大袈裟な話になっちゃったけど、純粋に面白いなーって思ったっつー話。そーだよなー。そもそもからして持つって考え自体が偏ってるっちゃ偏ってんだよなー。