ぃやっはぁーーー!!!

ピンクの幼女が叫んでた。
コンビニを出るとき自分の前にピンクのジャンパーを着た5歳くらいの女の子がいて、両親の買い物が終わりそうだから一足先に外へでて待つつもりなのか、彼女は後ろを気にせず、ドアをダンっと開けた。ちょうど出るとこだった自分が閉まりかけのドアをまた開けて外へ出ると、ぃやっはぁーーー!!!っとピンクの幼女が叫んでた。
周りを微塵も気にすることなく、体の中から湧いて出た感情をそのまま出すように、そうやって湧いてくる感情自体が楽しく仕方がないように、ぃやっはぁーーー!!!っと叫びながら体を揺らして走ってた。
本来的な叫びってのはあーゆーもんなんだろうな。歌にしろ、ダンスにしろ。人の目を意識したものじゃなく、体の内から湧いて出て感情を現すための、現したそれがさらにまた感情を湧き出させ、的な。いっこ前の話風に言えば、彼女は神だった。彼女の主権は間違いなく彼女にあった。周りで見てる誰かのうちになんてもちろんなく、彼女が彼女の神であり、彼女が彼女の僕だった。創世記あたりの蜜月があった。
何を当たり前な、なんてとても言えない。いまや主権はどこかの誰かに奪われた、というか、奉げられた。大半の人はそんなもんだろう。天で言うならば、靴下のまま家の外の庭も歩けない状態、そんなもの砂がついたらはらえばいいだけなのに。あるいはまともな人生が外れるのが怖くて好きでもないことを、望んでもないことを続ける人生。
いずれも私のうちに神はない。決定権を持ってるのは私ではない誰か。価値観とかまともさとか、結局誰かのうちに主権は奉げられている。そうすれば守られるし、安心だし、まともでいられる。でも引き剥がされる。私と私が引き剥がされる。そんな引き剥がされる前の彼女。もちろん、引き剥がされるつつあるんだろうけど、まだ同居はしている。そんな引き剥がされる前の彼女。ぃやっはぁーーー!!!