割とちゃんと書いてるTS物

だとまあ、異性になった自分を悩むけど、そんな話。女になった主人公が生理だとか肉体的、精神的な変化だとかを受け入れることができず、女であると認めることができず、男である自分を必死に保とうと、薄れ行く記憶を必死に守る話。
でも前世の自分は本当に「男である自分」だったのかな?って気がしないでもない。現世で女としての自分、寒がりですぐに凍傷になるような弱い体を気遣い暖色系の配色で体に良い香を焚きしめなんちゃらかんちゃらって合理的に部屋を作った結果、そこにできあがったのはどうしようもなく少女趣味の部屋であったように、機体の性能による嗜好ってのがあるわけだけど、前世のそれも一緒で「男である自分」があったわけじゃなく、男という機体に乗ってたっていうだけの、男である「自分」だったんじゃないのかなっと。
そう考えるのならばそういった拒絶反応はなくなる。「男である自分」が女の体を持つことは許せないが、男という機体に乗ってただけの「自分」が、今度は女という機体に乗っただけであるのだから、機体の性能による差ってだけに過ぎなくなる。甘い物好きになった自分を「男である自分」と比べて嘆くことはなく、男という機体に乗ってた時はまずかったけど女という機体に乗った今は美味しいなーってくらいに。まあ、それが認めて受け入れるってことでもあるんだろうけど。


どうでもいいけど、拒食に陥り、体が勝手に吐いてしまう状況になった主人公に対して、お前が食わないなら俺も食わないという兄、兄の行動を見て面白い行動をしてるじゃないかと自分達もやり出す両親、旦那が食わないのに俺たちが食えないという部下。それらが揃って断食ってのはなかなかすごいなっと。
やせ細っていく周りの者を見ながら、体が勝手に吐いちゃうから何もできない主人公。終いには子供の部下がぶっ倒れちゃって、お願いだから食べてと泣きながら懇願し、食べては吐いて、食べては吐いて、吐いたものを更に食べっていう、壮絶なお話。すごいね、全く。