家の廊下は暗い

一寸先どころか見渡す限り何も見えず、目を開けているのが痛くなる*1程の暗闇がただあるだけ。何となくそこに立ってみた。30秒ほどして疲れたので座ってみた。静まった家の中、目が痛くなるばかりの暗闇の前に座る。なんかもういろいろと病んでそうな感じだけど、まあそこは置いといて。
しばらく座って前を見据えていたら、とある同人ゲームを思い出す。人が死んだら形を保てなくなるのは何故か。それは自分を定義して保つことがとても困難で、それを為せる者があまりにも少ないから。有象無象の霊の中で敵に精神体にされた主人公は問われる。お前は一体誰だい?男?腐る程いる。日本人?腐る程いる。某県在住?腐る程いるし誰でも住める。他には他には?お前と同じような性格の奴も、似たような思考の奴も、似たような存在の奴も腐る程いる。その中でお前っていうのは一体何なんだい?どこが他人と違うんだい?何がお前の定義なんだい?そういう話。
後、とある世界一有名な収容所の生き残りの人が書いた体験談も思い出した。老若男女、医者から学者から労働者から主婦から職人から様々な人間が衣服を剥がれ、名を奪われ、放り込まれた。そこには放り込まれる前にいた数多くの人間はどこにもおらず、ただのヒトがたくさんいるだけだった、的な話*2
結局の所行き着くのはこの暗闇と似たような場所なんだろうなっとか思いながら、保証の梯子が外されたそういった二つの話を思い出した。まあ、目が疲れたからすぐにやめた。ちょっと後ろを振り向いたら部屋から漏れる仄かな光が廊下や納戸を照らしてた。行き着くところはあそこでも、行き着くまではここなんだから、さじ加減が難しいっちゃ難しい。まあ、折り合いか。

*1:比喩ではなくガチで痛くなる

*2:いや、嘘、誇張。いや、誇張ではないけど、この物言いは前に馬鹿画像見たときに書いた言葉だから多分違う。まあ、社会的なそれが全て奪われ的なことが書いてた気がする。