図書館で騒ぐ子供

親のしつけ以前に、そもそも他者がいないんだろうなあって、数十人の人間がいるのにその子供の騒ぐ声だけが響く図書館で、ふと思う。見えてはいるけどNPCみたいなもんでさ。叱るというコミュニケーションを働きかけてくる人間がいないから、子供の目の前をウロチョロしている人型は、主体性を持った人間ではなく、NPCライクな単なる人型、自然の一部って認識なんじゃないのかなって。
だから彼女の認識としては、母親が申し訳程度に「しっー」という意図が掴めない。説明不足だ何だという以前に、そこには母親と自分と、その他大勢の人型をした物言わぬ自然があるだけなんだから。他者の迷惑になるだとか、他者が何らかのアクションを引き起こしてしまう可能性だとか(怒るやら何やら)、そんなものは皆無。家と同じプライベートな、そこにはいる人間は母親と彼女だけの、二人っきりの空間って認識なんだから。
と、そんな与太なことを考えてた。しかし、あれだね。行儀がいいね、みんな。感動を覚えるまでに数十人の老若男女は、一言も、それどころか音すらも発さず、騒ぐ子供を騒ぐ子供のままに、スルーしていた。自分が透明人間ではないかと悩む人間を連れてきたらリアクションのなさに発狂して裸になって騒ぐだろうけど、それすらもスルーしそうな勢いだった。
後、叱るってのは、偉い行いだとかそんなんじゃなく、短気なおっさんがむかついたガキを大声で黙らせるって感じなんだろうなって思った。自分も叱るおっさんなんてフィクションでしか見たことないから、想像でしかないんだけど、でも叱るという行為が云々って義憤に駆られてって感じじゃなく、単にむかついたからってだけだろうなっとは思った。