フィルター

この前のこと。とあるマンガを読んでいた時に貧乳の水着がポロリとこぼれて乳が見えるという話があって、その絵を見て憤った。
あんたわかってねえ!わかってねえよ!と。そこにあったのは貧乳とは名ばかりのやる気のないなだらかな丘。ただ緩やかな線を描くだけの胸にとってつけたような乳首とは名ばかりのただの点。こんなのを断じて貧乳と認めるわけにはいかない。我が矜持にかけて。
貧乳好きの作家の作品を見るがいい。わずかに浮いた肋の平原からわずかに盛り上がる円周。円周から連続して、泡立てまくったメレンゲを最後に持ち上げたときに残る角のような円錐。そして円錐の先からも同じようにただの点ではなく、乳輪から乳首に至るまで気合いを入れて描き込んでいるあの作品を。それを見てなお、適当に書いた曲線に点を乗せただけのそれを、貧乳と言うことができようか。いや、できまい。そこのところを努々忘れぬように…って具合に憤った。でもまあ、作者は女だし、なおざりでもしょうがないのかなっと、その時はそれで終わった。
で、さっき。女性が描く女性向けの作品に出てくる男の線の色っぽさってのは何なんだろうなあって考えてるとき、ふと思い出す。あれ?これこの前の貧乳の話と一緒じゃね?っと。男が男を描くときは適当に線を引きがちだったりするけど、女の人からしたらそれはこの前の貧乳に対する怒りと同じように、何そんな適当な線を引いてるのよ、もっとこう色っぽさを云々。
何がこの違いに繋がるのかって言ったら、対象に対する観察の深さというか、何というか、そんな感じなんだろうなあっと。つまりはどう見ているか。男は男のことなんか適当にしか見ないし、女は女の乳なんて適当にしか見ていない、的な?いや、実際どうだか知らないけどさ、そんな感じなのかなあって思った。