よく憎み、よく愛せ

まー、よくある話だよね。憎しみも争いもない世界を創るんだよってラスボスに対する主人公側の弁とか。深く愛するためには深く憎まなければならない、なんていうと奇妙に聞こえるけど、全ての人を愛しているとにこにこしながら言う人と比べれば、それほどでもない。統合よりも分裂を推奨する話も似たようなことが言える。安易な統一性のための統合で鈍化させてはいけない。鬼のように憎んだ後に健やかな気持ちになるのをそのままに認めること。一つの安易な人格に統合するために嘘をついて誤魔化さないこと。鈍化させないためにはそうして尖らせなければならない。鈍化し麻痺し朦朧とした愛を誰にでも笑顔で振りまくよりは、よく憎むことで尖らせた愛を数えられるくらいの人に注ぐ、というより突き刺す方が、まー、好ましいんじゃないのかな。難しいけど。