100均で

靴下を見ていたら隣のネクタイコーナーに少女がいた。少女がネクタイ?と疑問に思うも、すぐに父の日かと気付く。一階のスーパーで散々アナウンスしてたし。はじめは、父の日100円かー、なんて思うも、しばらくしてから考えが変わる。そして前に読んだ本の話を思い出す。
彼氏から彼女へのプレゼントの話。ボクは彼女じゃないから、彼女の好みは完全にはわからない。だからボクが何か買うよりも、彼女が一番欲しいものを買って貰った方が効用は最大化できると思って彼女にプレゼント代を渡したんだ。そうしたらどうなったと思う?ははは、ぶん殴られちゃったよ。いったいどこが悪かったんだろう、HAHAHAHAHA。や、作者アメリカ人だったから。で、その本ではプレゼントとは品物の好みだけじゃなく、むしろ相手がどれだけ自分の好みを把握してるか、それについてどれだけ考えをめぐらしたかによって、愛を量る行為である云々、みたいなことが書いてあった。
話は戻ってネクタイコーナー。少女はいろんなネクタイを手に取り悩む。どのネクタイがいいのかなんて知らないだろう少女は考えに考える。時折聞こえる悩み声。うーん。どれかなあ。そして時々靴下を見たり。するとそこに母親登場。ねえ、ママ。パパどんなの好きかなあ?真剣に問う少女。うーん。どれでもいいんじゃない。適当な母親。靴下とかもいいかなって思ったんだけど。なおも真剣な少女。いいんじゃない。それで。なおも適当な母親。パパどれいいのかなあ……。
最初読んだとき、理解はできたがいまいち納得はできなかったさっきの話が、その少女を見て腑に落ちる。ああ、こういうことだったのかと。しかしそのパパは果報者である。とりあえず、パパと一緒に洗濯しないで!と10年後に言われるがよい、と呪っておく。それを差し引いても充分すぎるほどの果報だろうから。