玉手箱ってあれなんなん?

とか思ってたけど、そもそもからして話がちょっとちがうのね。


まず浦島の助けた亀自体がおにゃのこに変身。海の中にすてきなとこありますわよん、っと連れてかれたところが蓬莱みたいなバケーション。やはーこりゃたまらんわんと数年エンジョイするも、やっぱ故郷に帰りたいなーとホームシック。
や、や、でもね、浦島さん、ここは時間の流れがちがうから数百年たってる向こうに帰っても親類縁者や兄弟知人、見知った人はみんな死んじゃってますよ、とここですでにカミングアウト。それよりなにより、ここは不思議な場所だから一度帰ってしまったらもう二度とここへは戻ってこれないんですよ?そんなん寂しすぎますわん、と哀願する美人亀。
や、でも、おら、どうしても故郷に帰りたいっちゃ、と聞かぬ浦島に、じゃ、この箱をもっていってくださいな、と、ここでようやく箱登場。どういうことかっつーと、この箱は決して開けてはいけませんが、もしもあなたがこの箱を開けずにいられればまた二人があえることになりましょう、という最後のフラグ装置だったとかなんとか。ま、でも、浦島帰ってあけちゃうんだけどね。そこで終わり。ちゃんちゃん。


で、玉手箱の不思議はなくなったわけだけど、これで話の魅力が増したかっていうとそんなことはなく、むしろ減じたきらいがあるよねっと。長年のあーだこーだで話が入れ替わり立ち替わり、意味のあった玉手箱が切断され、ぽつりと異物のように配置されてしまったわけだけど、そのわけのわからんさがアクセントというか、人を引きつける魅力になっていた。全面的なわけわからんさは人を遠ざけるが、ちょっとしたわけわからんさは人を惹きつける。え?なんなんそれ?どういうことなん?エヴァクビシメキモチワルイみたいな。あるいはミロのヴィーナスのように、最初から十全なかたちで流通していたら、いまのような人気を保っていたかどうかっつーと云々かんぬん。ま、んなこといってるけど、知ることができてよかったなーと素直に思う。亀かわいいよ亀。