恋愛と宗教

恋愛と同じように宗教を考えるならば。
星の王子さまのキツネが言うように、自分にとってたったひとりの人を探すのではなく、たまたまとあるひとりと慣れ親しんだ結果、そのひとりがたったひとりの人になるのならば。
その神が、教えが、唯一絶対無謬のものてある必要はないし、それどころか、てんで誤りだらけのものであったとしても、その人にとってのかけがえのないオンリーワンであることに変わりはないし、代わりもない。
だめ男にハマってる人に何を言っても無駄であるのと同じように。


そうやって考えるならば、それが適切ではないからといって廃棄を求めるのは、ライナスの毛布や夫の鉄道模型を捨てるようなものである。
キツネの教えは、ものごとの価値はそのもの自体の客観的な価値によって決まるわけではなく、もちろんその影響力はあるにしろ、基本的には主観的な価値観、主観的なそのものとの付き合い方、歴史、経験、蓄積されたものによって決まるっつーことだと言える。
客観的な価値観が強い場合もあるからその割合とも言えるけど、詰まるところその客観的な価値観も内側に取り込まれた上で判断されるわけだから、結局のところ主観的なもので決まるといっていいだろう。
で、人の主観なんざ知りようがねーわけだから、薄汚い毛布だろうがおもちゃみたいな模型だろうがバカみたいな恋愛だろうが冗談みたいな宗教だろうが、尊重しようじゃねーかと。迷惑かからん限りはさ。